people in the box "Citizen Soul"

people in the boxってつかみどころがない。彼らの個性は確立されているのだけど、「どのアルバムが彼ららしいか?」と言われるとどれとも言えない。かといって、みんな似たような作品というわけではない。どれもそれぞれ個性的なアルバムだ。

そんなわけで、このミニアルバムがどんなものかをレビューするにはpeople in the boxの作品の変化を、順を追っていくのが良いかと思います。
あくまで私の印象で、何枚かずつまとめて印象を語っていきます。

Rabbit Hole、Frog Queenの初期の作品は、影をもちながら激しい。全体的に疾走感があり、変拍子残響レコード的な曲展開をしても、いかにも邦ロックであるという印象。

Bird Hotel、Ghost Apple、Sky Mouseは曲の傾向はそのままに、ポップとロックの間での振れ幅が大きくなる。また、歌、ギター、ベース、ドラムそれぞれの楽器の主張が強くなり、統一感のない一体感をもち始める。

Family Record、Lovely Taboosはイノセント。日常音のコラージュが使われ、間の抜けた歌や音づくりが増える。また、曲の振れ幅はさらに大きくなり、テンポのゆっくりとした哀愁のある曲、轟音ギターの曲も増えている。テーマも変化し、童謡の世界観とともに、社会問題や経済のことばを使った歌詞が多め。

このような変化のなかで、本作もFamily Recordのカテゴリに含まれるイノセントな作品のうちといえそうです。
その中での個性として、ややアメリカン・ロック的なエッセンスを取り入れている印象です。ギターのカッティングや転がるドラムはpeopleらしさをはみ出さないものの、黒人音楽的。新鮮な響きです。
彼らはいったいどれだけの引き出しを持っているのか・・・次作も期待できそうです。